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2018年2月5日月曜日

JA秋田おばこの不適切会計問題

~公認会計士がいない?~


 魁新聞に頻繁に取り上げられていた「JA秋田おばこの不正会計問題」ですが、とうとう県に対して国からの調査指示があったようですね。


 この問題は、昨年から調査委員会が立ちあげられて、事実関係の調査が行われていたのですが、構成員は弁護士と農家代表でした。


 不正会計問題の調査にもかかわらず、公認会計士が調査委員会のメンバーに入っていないというのには、ずいぶん違和感を覚えたものです。


 新聞によると、調査報告書は「内部統制の不備が原因である」とか「理事会が機能していない」という内容でしたが、こういった問題の報告書では、どの報告書にもほぼ100%そのようなことが書かれているので、そんな大雑把なことには興味はなく、


 「いったい誰が、だれの指示で、どのような動機で、どのような手段で不正会計を行いっていたのか。責任の所在はどこにあるのか。最終的な金額はいくらなのか」


 ということを知りたいのです。

 今回の報告書では、責任の所在や動機・理由・手法など肝心なことは、時間がなくて資料もそろっていないという理由で、明らかになっていません。


 調査に限界があるにしても、これでは農水省の指示で県が再調査を行わなければならないのはやむを得ないでしょう。


 一般的な事業会社であれば、株主が株主代表訴訟を起こすはずです。

 ただ今回の場合、12億5,600万円の未収金は別として、55億9,700万円といわれている赤字は、結局株主(この場合組合員、すなわち農家)に過大に支払われたのが原因なので、農家は現状損はしていません(むしろ過去の過払い分だけ潤った)


 上場会社と違って、組合員の出資金の価値が下がるというわけでもないし…。そのあたり、責任追及が弱くなりがちなので、あいまいな結論にならないようにしてほしいものです。

 
 この赤字は、農家から回収するのではなく、利益剰余金を取り崩したりして埋めるそうですが、その分将来米の値段に反映されると、負担するのは結局消費者なのですから。


 JAおばこは、米の取扱量では全国ナンバーワンだそうですが、あきたこまち」のブランド価値が下がるのではないかと心配です。


 JAには、2019年度から公認会計士あるいは監査法人による法定監査が義務付けられるようになります。

 監査はあくまで内部統制の整備運用状況が有効であることを前提に行われるので、このような状況で監査を引き受けるところがあるのか、どこが引き受けるのか、こちらも注目したいところです。