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2014年3月28日金曜日

捏造に改ざん

~袴田事件と白雪姫殺人事件~
 
 袴田事件の再審請求の決定は、衝撃的でした。判決が出る前日まで、テレビの報道や新聞を見ている限りでは、どうみても被告は無罪のような印象を受けていたのですが、今回の地裁の決定は、まさしくその通りとなりました。しかも新聞によると、裁判長は、死刑判決の証拠が「後日捏造された疑いがある」と結論づけたといいます。なんということでしょう。


 ヤフーの記事によると、一審で死刑判決文を書いた元裁判官は、「有罪認定は難しい」と思っていながら、結果的に先輩判事に押し切られたということで、半年後耐えられず退官。その後「無実の心証があった」と告白したものの、請求棄却が確定してしまい、今でも車椅子姿で、悔やみ続けているそうです。


 「捏造」で思い出すのは、大阪地検特捜部主任検事による「証拠改ざん事件」です。2010年の出来事でした。記憶に新しい事件です。これも被告は無罪となりました。


 それにしても、人を裁くということが、どれほどその人の人生を左右することになるかということを、裁く側の人たちは考えないのでしょうか。客観的で正しい判断であればまだ救われますが、その人の立場が弱いのをいいことに、「捏造」「改ざん」で、一人の人間を奈落の底に突き落とすというのは、人の道に外れることだと思います。


 袴田事件のことを大きく取り上げた中日新聞の夕刊に、今月29日に公開される映画「白雪姫殺人事件」の解説がありました。タイトルは「つくられていく容疑者像」です。


 解説によると、この映画の重要なキーワードとして登場するのは、「記憶は捏造される」というセリフだそうです。さらに解説を引用すると


 「他人について語るとき、先入観に沿って話を盛ることで、その人物をいくらでも悪人に仕立てられる。無意識の悪意の恐ろしさを痛感させる作品だ」


 
 とあります。なるほど、よくありそうな話です。


 袴田事件といい映画の解説といい、身近なところでこのようなことが起こりうるということを考えると、ぞっとします。