カテゴリリンク

2014年2月17日月曜日

忘れてきたもの

~新シリーズ 川柳番号16

四半期に 一度は見直す 我が人生

 五木寛之の本を読んでいたら、「明日の事はわからない…一瞬一瞬が一日になり、その積み重ねで一年が過ぎてゆく」というような記述がありました。確かにその通り。若いころは、明日は確実にあるのだという確信があったのですが、今の世の中、いつ何が起こるかわかりません。やはり、今やるべきことを後回しにするのは、できないのです。


 最近思うのは、確かにここ十数年くらい、特に仕事関係で、目の前の事で精いっぱいだったなぁということです。ただものすごく刺激的な時間を過ごしてきたのは間違いないのですが、それによってできなかったこと、失ったものもたくさんあるような気がするのです。なんだか忘れ物をしてきたような気分なのですが、だからといって、もう取り戻しに行くことはできません。

 20代のころは、夜中の2時前に寝ることは、ほとんどありませんでした。特に勤め始めてからはなおさらで、睡眠を削って自分の時間を確保していたのです。30代のころは、毎年本を100冊~130冊読破し、CD80枚~100枚聞いていました。

 ところが、40代になると仕事が忙しくなり、夜中の10時前に帰宅することがほとんどなくなります。夏の時期を除き、毎月100時間以上残業する日々が何年も続きました。自然に読書量が減り、音楽も聞かなくなりますし、家族や身内と話す時間も少なくなります。それだけならまだしも、健康に障害が出るし、自宅や会社で倒れたことも。就寝前に、「明日の朝、自分ははたして生きているだろうか」と真剣に考える日々です。立場的に「使命感」だけが支えだったような気がします。


 それでも、忙しいのを楽しみながらやっていたのは事実だったし、また我々の世代は、自分の時間を確保した時期があったからいいまだのですが、最近は常に何かに追われるように、余裕のない日々を送っている人が多いのではないでしょうか。自分の今やっていることに、満足感があるのかどうか、四半期に一度くらいは、我が人生を振り返って見直してみるのもいいかもしれません。


退職した後で、青春時代にできなかったことを取り戻そうと思っているなどという話を聞きますが、そんなものは妄想で、できるはずなどないのです。後になって忘れ物をしたと思わなくてもいいように、今生きている時間を大事にしたいものです。