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2012年3月26日月曜日

意外と高い各国の消費税率

~日本の倍以上の国も~




 新聞を読んで驚いた人が多いのではないかと思ったのが、欧州各国の消費税率の高さです。そういう私も驚いた1人なのです。


 日本では現在消費税率は5%です。導入当初の1988年は3%でしたが、1997年に5%へと引き上げられています。この税率を段階的に10%まで引き上げようといろいろ議論されているわけです。10%というと一気に今現在の2倍です。ずいぶんな話だなと思うのですが、新聞によると、フランスでは19,6%から21,2%に引き上げる方針が表明され、イタリアも21%から23%へ引き上げるのだそうです。そんなに高かったとは知りませんでした。ちなみに現状は、ギリシアとポルトガルが23%、イギリスが20%、スペインが18%です。どこもかなり高いですね。もちろんだからといって日本の消費税率をこの先どんどんあげていってもいいのだ、ということにはなりません。


 国民から税金を徴収する方法は各国でまちまちであり、日本では消費税が導入される前は、直接税である所得税が中心でした。所得税は税率が累進的となっているため、所得が高い人ほど税率が高くなっていきます。課税所得が発生する人は、税率は5%から始まって最高40%、住民税を含めると最高税率は50%となります。ある面負担能力主義というか、課税所得が発生しない人からは税金を徴収しませんし、多く稼ぐ人からたくさん税金を徴収することで、なんとなく納得感があります。ただ問題は所得の捕捉が十分ではないことだと思います。「クロヨン」あるいは「トーゴーサンピン」といわれるように、税金をごまかしている人が後を絶たず、不公平感があるということですね。


 これに対して間接税である消費税は、消費することによって間接的に税金を払うことになるため、所得の捕捉率は高く、そういった面では平等感はあります。ただ、所得の多い人も少ない人も同じ税率で負担することになるため、所得の少ない人にとっては相対的に税金負担割合が高くなってしまいます。これを「逆累進性」といって消費税の欠点であるといわれているのです。生活の苦しい人が今日食べるお米を購入するのにも5%の消費税を払いますし、大金持ちの大馬鹿野郎の息子に、ベンツCLクラスのAMGを購入してやるのも5%の消費税なのです。


 日本は長い間、歳入は直接税が中心でしたが、今後は広く負担させることができる消費税中心の社会になっていくのでしょう。ただ、今検討されているのは、税金の直間比率を見直すために消費税を増税して所得税を減税するのではなくて、消費税率をアップして、なおかつ所得税の負担も増やしてやろうという雰囲気です。国民の負担はなかなか大変ですね。1%税率をアップさせるだけで単純計算するとおそらく兆円単位の増税効果があると思われるのですが、逆に消費が冷え込んで企業業績が悪化し、法人税収が減少することも考えられます。


 それから消費税の問題点を一つ。それは益税問題です。本来であれば、企業は消費者から受け取った税金から仕入れ等のために支払った税金を差し引いて差額を国庫に納める必要があるのですが、消費税法の中には簡易課税制度や特例ルールが定められていて、必ずしも消費者からいただいた税金がそのまま国庫に納められているとは限らないケースがあります。税率が上がると益税もその分増えることになります。


 消費税率を上げるのであれば、そのあたりの消費税法の見直しも同時に行っていただきたいものです。