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2011年12月14日水曜日

川柳で学ぶ会計の話...その2

~川柳番号301 「鴻毛より はるかに重い 自見発言」~

 菅前首相の脱原発発言を「鴻毛より軽い」と発言したのは、海江田経済産業相でした。鴻毛などという難しい言葉を知っているとはさすがです。悔しいけれど、私は知りませんでした。そこでその時さっそく調べたのですが、鴻(おおとり)の羽毛で、非常に軽いもののたとえだそうです。時の首相発言をそのように批判するのも、なかなか勇気のいることだと思います。でも、そんな人には泣かないでほしかったです。


 菅前首相の発言が鴻毛より軽かったかどうかは別として、この人の発言は大変重い発言でした。自見大臣IFRSをめぐる発言です。IFRSについては、当初は2012年を目途に導入するかどうか(導入することをではありません)を決定し、導入する場合にはそこから3年ほどの準備期間を設け、2015年ごろに適用するという道筋が示されていました。ところがどういうわけか、出版業界は、あたかも早ければ2015年3月期にIFRSが強制適用となるかのような雰囲気を醸し出し、書店に行けば会計分野にはIFRS関係の分厚い本がこれでもかとばかりにあふれかえっていたのですね。しかも、IFRSは2期比較で開示しなければならず、比較年度の期首から適用されていなければならないから、実質3年前からIFRSを導入しなければならないし、システム投資も必要で、今すぐにでも準備に入らないと間に合いませんぞと、IFRS関係本は訴えてきます。人間の心理というのは恐ろしいもので、そういう場合には遅れてしまってはならないと焦ってしまいますよね。そういう私もそのうちの一人で、これまでIFRS関係の雑誌や本は何冊も読み、昨年末から今年にかけてはブログにも書いたように千ページ本を読破していたのです。 


 流れが変わったのは震災が起こってからでしょうか。なんとなくこの状況ではIFRSどころではないなと話していたところでした。公認会計士は会計の専門家ですから、もちろん勉強はするけれども、このまますんなりいかないだろうなという思いが頭をよぎっていたのですね。そこに出てきたのが新書版の「IFRSに異議あり―国際会計基準の品質を問う―」という本でした。確か出版されたのは5月くらいだったと思います。IFRS一辺倒の偏った考えに陥るのは嫌だったため、早速購入してこの本を読んでみたのですが、なかなか説得力のある本でした。そして、この本を読んでこういう考え方もあるな思っていた時に突然出てきたのが、自見金融担当大臣のIFRS導入延期発言です。2012年に導入するかどうかを決定し、準備期間を5年~7年設けるというものでした。これには正直驚きました。このようなこともあるのかと。


 IFRSを日本の会計にどのように適用していくのかということについては、企業会計審議会で議論されており、各委員の発言内容が議事録として公表されています。現在は11月の会合分まで議事録になっていて、全て目を通しましたが、内容を読んでいる限りでは、日本の上場企業すべてにIFRSを導入しようという意見は少ないように思います。連単分離、上場企業にも部分適用が今のところ多数意見のような気がしますが、皆さんはこれを読んでどのように思いますか。


 いずれにしても議論はこれからも続きますし、TPPもそうですが、IFRS問題も日本の国益に絡む大きなテーマですので、慎重に検討していただきたいと思います。


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