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2011年1月31日月曜日

「監査法人」が小説化された

~健司を復活させることはできるだろうか~


昨年の10月だったと思いますが、何気なく日経新聞一面の下の欄を見ていたら「監査法人」という字が眼に入ってきました。どうやらテレビドラマが小説化されたようです。さっそくジュンク堂へ行って購入し、読んでみました。


内容的にはドラマと一緒で、会話もほとんどテレビドラマと変わるところがなかったのですが、情景描写や心理状態等の説明が加わったためわかりやすいという面はありました。でもやはりテレビのほうがテンポがあって、より緊張感があるように感じます。ドラマを作るときは、一話が完成するまでに台本が第5~6稿までかかり、その都度集中力を高めて真剣に何度も読んでいましたので、ほとんどの会話が頭の中に記憶されています。読んでいて大変懐かしい思いがしました。このドラマが放映されてからもう2年半以上経過しているのですが、NHKの「感想掲示板」をみると昨年の11月まで871のコメントが掲載されていました。つい最近もNHKのBSハイビジョンで再放送されていたようです。このドラマを見て、「自分も会計士になろう」と思った人も多いと思います。


しかし、このドラマを作っていた当時とは、公認会計士業界を取り巻く環境も大きく変わってしまいました。制作当時は、それまですでに4~5年ほどに亘って、毎月100時間以上の残業をこなし、いつ過労死するかもしれないという恐怖と闘いながらも「俺がやるしかないんだ!(小野寺みたいですけど)とばかりに使命感をもって、何かに憑かれたように毎日を過ごしていたものです。一度自宅で倒れたこともありましたが、何とか生きてここまで過ごすことができました(大げさですが)。朝、目がさめた時、「ああ、今日も生きていた」と感謝したものです。


ところが最近はどうでしょう。監査法人も採用しきれないくらい試験合格者が増え、一時に比べたらずいぶん時間的なゆとりがでてきたようです。ドラマでも、徹夜が続いて職員が倒れるシーンがありましたが、ほんの2~3年間でこんなにも環境が変わってしまうのでしょうか。もうあの当時には戻りたくないという思いもありますが、逆に物足りなさも感じます。


小説を読んでいくにつれて、健司を監査法人にカムバックさせて、新たに活躍させてあげたいという思いが強くなってくるのですが、エッセイや専門書を書くのと違って小説を書くとなると、やはりかなりのセンスが必要です。自分にそのセンスがあるかどうか試してみたい気もするのですが・・・。


それにしてもアーバンエステートの問題は、ドラマの第六話「プレシャス・ドーナツ」のストーリーとダブってしまうのですが、考えすぎだろうか。


2011年1月28日金曜日

偶然が重なった

~久しぶりにいい曲に出合いました~


最近IFRS本をはじめとして、ジュンク堂で本を物色する機会が多いのですが、先日は桃山時代の焼き物の研究をしようとパラパラと写真集をめくっていました。するとその時です。突然隣のおっさんが、私の横で大きなおならをしたではありませんか。私はあわてて裏側の列の本棚に移動したのですね。でもそこはたまたま音楽関係の本を集めた棚でしたので、やれうれしやとばかりに、ほとぼりが冷めるまで面白そうな本を探し始めました。そこで目についたのが、吉田拓郎かぐや姫といっしょに開催した「つま恋」コンサートのことを書きつづった本です。特に拓郎は、楽譜がなかった当時、レコードやテープを擦り切れるほど聞いて、独特のギターの弾きまわしを必死で練習してコピーしただけに、大変思い入れがあります。つま恋コンサートは2回行われているのですが参加できなかったため、DVDを購入して何回も見ました。一回目は「ウッドストック」を思い出してしまいますし、二回目は年齢を重ねた分力みがなかったのですが、なんとなく元気をいただいたような気がしました。その舞台裏に興味があったので早速購入。読んでみました。


3年前の3月18日に突然耳鳴りが始まってから、ヘッドフォンを付けて大音量で音楽を聴くことはなくなってしまいましたし、おじさんは最近の歌にはついていけないため、CDを購入することはほとんどなくなってしまいました。その代わり、一時気が狂ったように買い集め、1500枚ほどたまったCDをもう一度じっくり聞き直してみることにしたのです。お好みのアーティストを順番に選んで車に持ち込むことにしているのですが、「つま恋」を読んでからは拓郎のCDを6枚ほど挿入して聞くことにしました。するとそれまで全く聞いたことのなかった曲で、聞いた瞬間これはいい曲だと思う曲に出会ってしまったのですね。リズムも歌詞も文句なしです。なぜ気がつかなかったのだろうか。曲はすぐ覚えてしまいましたし、コード進行も簡単そうでしたので、さっそくギターを取り出して練習。でも困ったことに歌詞がなかなか覚えきらないのですね。昔はすぐに覚えられたのになぁ。これも年齢を重ねたせいなのでしょうか。就寝前と出勤前のそれぞれ20分間が、非常に充実するようになりました。こういった偶然の巡り合いには大変うれしくなってしまいます。


タイガーマスク現象を見ていると、日本もまだまだ捨てたものではないなと思ってしまいますが、私の人生も骨董市で200円で購入した骨董品といい、置き去りにしていたいい曲との出会いといい、ささいなことではありますが、まだまだ楽しいことが身の回りにいろいろありそうな気がします。「おならおじさん」に感謝!


2011年1月21日金曜日

公認会計士と税理士試験

~特別税理士はどのように考えるのか?~


 今年の冬は雪が多いようです。年末に実家の秋田に帰る際も、無事にたどり着くことができるかどうか心配していたのですが、ほぼ予定時刻に到着。改札口には二人の税理士が私たちを待ち構えていました。そのうちの一方の税理士は、あいかわらず怪しい雰囲気を醸し出しているのですが、今回は母親が身に着けていた指輪をループタイにして、首から下げていました。そして私に会うなり開口一番、「公認会計士は税理士試験の税法科目を通るべきである」ときたではありませんか。おお!越麻呂日記をさっそく読んでいてくれたのかとうれしくなったのですが、その話は後にして、とりあえずは会食の場へと直行です。


 ひとしきり世間話しをした後、話題はどうしてもそちら方面へと進んでしまいます。何しろこの税理士は、大学在学中に税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」を1年で同時に一発合格し、翌年には税法3科目を一発合格するという離れ業を演じたバリバリの試験合格組なのです。当然のごとく「公認会計士が税務を行うのであれば、税法の試験を通るべきである」となるわけですね。そこで私は切り返すわけです。「では、特別税理士はどうなのか」と。私の父親も税理士なのですが、55歳で退職するまで税務署に勤務しており、私が高校2年生の時に、いわゆる特別試験なるものに合格して税理士となる資格を取得したわけです。それでも試験合格組にいわせると、「きちんと税理士試験に合格すべきである」となるわけですね。まさしく正論です。しかし当のご本人は、「特別税理士は特別だから一番偉いのだ!」などとわけのわからないことを言いながら、カキフライをカリカリ食べていたので、もうこの話題は切り上げることにしました。この道30年になろうとしていますが、この間特にトラブルもなく、いまだにコツコツ税理士業務を続けています。

 
 3年くらい前までならば、なにもこのような業界同士の大きな論争にはならなかったのでしょうが、最近公認会計士試験の合格者が多いため、税理士業界に流れ込む人が増えてくることが予想されます。その辺の危機感があるのも十分わかります。試験合格組の税理士は「税理士にも監査をさせるべきではないか」と言っていましたが、会計監査は公認会計士の独占業務であるため、そういうわけにはいきません。包括外部監査をやる機会は税理士にも開かれているのだし、政治資金規正法の監査もできるではないかと言いたかったのですが、これを監査だと思われても困るしなぁ。特に後者は、監査というものに対して世間の大きな誤解を生む可能性があるため、できれば監査とはいってほしくないのですけど、この話題はのちのテーマとして改めて書きたいと思います。