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2009年7月1日水曜日

ああ!悲しき公認会計士よ

~公認会計士にもっと理解を!~


 協会本部による広報戦略がスタートしました。プロジェクトの目的は


■公認会計士の社会的役割の理解浸透
■公認会計士個人の幸福の実現
■優秀な人材の継続的確保


という事だそうです。


 広報の専門家が公認会計士に対するイメージについて意識調査を行った結果、クライアント等の外部の人たちは、公認会計士に対して比較的ポジティブなイメージをもっており、会計・監査の専門家で、信頼できる職業であるという認識を持っていただいているのですが、逆に公認会計士自身が自分たちに対してマイナーなイメージを持っているというか、自信喪失状態なのですね。これにはいろいろ原因があると思いますが、ここ数年の新聞の論調を考えると、わかるような気がします。


 公認会計士が世間で注目され始めたのは、ちょうど「りそな問題」が起こった頃でしょうか。「監査法人」のことがニュースステーション等テレビでも取り上げられるようになり、ヴェールに包まれていた世界が表に出てくるようになりました。そのときの私のカミサンの反応は「そういえばあんたも確か監査法人というところに勤めているんじゃない?」といったものでした。そのとき私は、この人は私がいったい何を生業として給料をいただいているのか全く興味がないのだなぁと、つくづく思いましたね。それほどこの世界のことは世間では知られていなかったのです。
 ましてや、私が公認会計士試験に合格し、この業界に足を踏み入れるようになった頃はなおさらです。
 

 東京にある監査法人に勤めていた私は、棚卸しの立会いで大垣にある工場に来ていたのですが、そこで当時の公認会計士試験第3次試験合格の知らせを聞きました。晴れて「補」の字がとれ、正真正銘1人前の公認会計士になることが決まった瞬間でした。前日からの約束で、私は当時の婚約者であった今のカミサンと名古屋で会うことにしていたのですが、とにかく一刻も早く合格の知らせを伝えたいと思い、名古屋駅で新幹線から飛ぶように降りると、その勢いで階段を駆け下り、ターミナルホテルのロビーまで転がるように走っていったのでした。

 そして、彼女を見つけるなり、私は晴れがましい表情で自信に満ちた口調で告げたのです。

   「3次試験に合格したよ。やったぜ、イェイ!」

 それに対して彼女はさぞかし喜んでくれると思いきや、きょとんとした表情で

   「???・・・」

 と語っていたのです。私はもう一度、

   「だから、公認会計士の3次試験に合格したんですけど・・・」

 と繰り返し言ったのですが、返ってきた言葉は

   「あっそう」

 と、つれないものでした。公認会計士に対する世間の知名度とはこの程度のものだったのかと、その時私は気がついたのです。


 公認会計士に対する認識というと、難しい試験に通った人というイメージはあるかもしれませんが、税理士や弁護士なら知っているけれど、公認会計士といっても、名前を知っているだけで、実際どんな仕事をしているのかわからないというのが大部分ではなかったかと思います。


 ここ数年は、いろいろ会社の不正会計が相次ぎ、公認会計士は一体何をしているのだというような記事が続いたため、あまりありがたくないイメージが先行してしまいましたが、公認会計士の仕事内容は、資本市場を支えると同時に、経済社会において重要な役割を果たしているのです。これからは、若くてバイタリティがあって志の高い優秀な会計士の卵がどんどんこの業界にはいってくることを期待したいものです。そして、「公認会計士試験に合格したよ」と言ったら、「え~!本当?すご~い!素敵!」と彼女に言われるくらい、広く世間にもっと我々の仕事の内容を知ってもらわなければならないし、またそのためにも日頃からもっとこの業界をPRしていかなければならないと考えているのです。